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変形性ひざ関節症の痛み改善、治療法についての最新情報2025

変形そのものが痛みの原因とは限らない

まず知っておきたい事実は、「軟骨のすり減りや関節の変形そのものが、痛みの原因とは限らない」ということです。

この事実は専門家の間ではよく知られていて、信頼性の高い海外の論文でも、もちろん日本においても科学的に実証されています。

平成18年の東京大学の有名な疫学調査によると、50歳以上のひざのレントゲン撮影をした結果、日本中で約2400万人が変形性関節症に該当。

その内、痛みがあった人は約820万人だけでした。

あなたは検査を受けた時に「ひざの軟骨がすり減っていて、関節のすき間がなくなっているのが痛みの原因です」と説明を受けたかもしれません。

でも現実には、画像上で異常があっても、10人中7人は痛みがなかったのです。

逆に、画像上は正常でも痛みを感じている人もいる。つまり、軟骨の減りや変形は、痛みと無関係の場合のほうが多いのです。では一体、何が痛みを引き起こしているのでしょうか?

ひざ痛・変形の原因はひとつ…とは限らない

変形性ひざ関節症の痛みは、最新の研究によると、主に3つの要因が複合的に重なり合った結果として生じると考えられています。

①モヤモヤ痛(内臓要因)…不適切な食習慣による炎症痛

モヤモヤ痛は、“カラダの中でくすぶった弱火の炎(低レベルの炎症)が血液に乗って関節まで飛び火したもの” です。

主に糖質や脂肪のとりすぎによって生じます。このタイプの特徴は、ひざに限らず、体重がかからない手指や肩の関節も変形しやすい。

患部がジワジワうずいたり、日によって症状が大きく変動したり、にぶく重だるいような痛みを感じる傾向にある。

これには高糖質高脂質の食べ物を控えたり、調理方法や使う油を変えるといった方法で、内側から起こる炎症をしずめる食事療法が有効です。

②ビリビリ痛(神経要因)…神経システムの不具合による痛覚過敏

ビリビリ痛は、“火災警報機が故障して、ほんの小さな火花が出ただけでサイレンが大きく鳴り響く状態”と考えるとイメージしやすい。

脳が小さな刺激を大きな問題と拡大解釈してしまう状態で、痛みに対する不安や恐怖心が強い状況が長引くことで起こりやすい。

例えば、歩くと痛む、ひざを曲げると痛むといった経験を何度もくり返すことで、歩く・曲げる=危険なことと脳が学習してしまう。

こうなると、患部がほとんど治っていても痛みがなかなかおさまらない。この「痛みの記憶化」と言われる現象も、ビリビリ痛の一種。

認知行動療法というアプローチが有効です。

③ガタガタ痛(構造要因)…骨や靭帯への負担による炎症痛

そして、ガタガタ痛は“過度な負担によって傷ついた関節に、炎症が起こって生じる痛み”です。

一般的にこれが原因と考える人が多く、整形外科でも一番重視されてる問題です。軟骨や靭帯にかかる負担を減らして、傷ついた組織の修復を助け、炎症をしずめることが治療の基本的な考え方。

外的な破壊力を自己治癒力が上回った時、はじめてひざは回復に向かいます。

しかし、日本においては残念ながら、世界基準から大きく外れた処置が行われています。その代表といえるのが《ヒアルロン酸関節内注射》です。

ヒアルロン酸関節注射や再生医療は、有効性低く、有害?

 ひざ治療の名医として知られる黒澤尚医師は「ヒアルロン酸関節注射を何十回も受けた結果、手術を受けなければならなくなる患者さんが後を絶ちません」と語っています。

それを裏付けるように、2022年に行われた6462例を対象とする最新の大型研究でも「偽物の薬を使った場合と比べて、痛みにも機能にも意義のある効果はなく、一方で重篤な有害リスク(手術の早期化、感染症、骨壊死など)は明らかに高かった」と結論が出ています。

つまり「効果がない上に、有害な場合が多かった」ということ。この論文は、BMJというイギリスの一流医学誌にも掲載され、もっとも信頼性が高いと言われる研究手法(システマティック・レビュー)が使われています。

 またこの研究では、高額な再生医療の有効性についても検証された。その結果、「ヒアルロン酸注射と同様、再生医療(PRPや幹細胞)も偽薬と大差なく、意義のある効果はなかった。幹細胞では重篤な有害リスクが高い」という、否定的な結論が出ています。

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